選考の仕組み、日程、倍率から、2年分の実際の出題まで。独学で準備する人のための総まとめ
SILS AO入試の選考・日程・倍率と過去2年の出題傾向

早稲田 SILS AO入試(早稲田大学国際教養学部のAO入試)について、対策を始める前に押さえておきたいことを1ページにまとめました。
まず、前半は、選考の仕組み、日程、募集人員、倍率といった基本情報です。
後半は、筆記審査で実際に何が出たのかを、2025年度と2026年度の出題からたどります。
基本情報は早稲田大学の公式サイトに公表されている内容にもとづいています。
出題の分析は、当社が公開している年度別レビューにもとづいています。
なお、入試の要項は毎年変わります。 出願前には必ず早稲田大学国際教養学部の公式ページで最新の入学試験要項をご確認ください。
SILS の選考は「書類審査」と「筆記審査」の2本立て
まず SILS の選考の全体像です。
早稲田 SILS AO入試(4月入学・国内選考)は、書類審査と筆記審査によって行われます。
筆記審査は、出願者全員が受験します。ただし、ここで見落とされやすいのが、筆記審査の中身です。
筆記審査は1科目ではありません。
Critical Writing(120分)と、志望理由に関するエッセイ(日本語・30分)の2つが課されます。
つまり SILS は英語の試験だけを準備していても足りません。日本語で志望理由を書く時間が、別に設けられています。
そのため、対策を組むときは、この2つを分けて考えてください。
SILS AO入試の日程と募集人員
2027年度入試(2026年度実施)の日程は次のとおりです。
・出願期間:2026年9月1日から9月8日
・筆記審査:2026年10月25日
・合格者発表:2026年11月23日
なお、募集人員は95名です。
ただし、出願期間が9月の頭で、約1週間しかない点に注意してください。
夏の間に書類の準備を終えていないと間に合いません。
また出願には、指定された英語外部検定試験のスコア提出が必須です。
SILS AO入試の倍率は、どれくらいか
早稲田大学が公表している入試データによると、SILS AO入試(4月入学・国内選考)の実質倍率は次のように推移しています。
| 年度 | 志願者 | 筆記審査受験者 | 合格者 | 実質倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年度 | 721名 | 668名 | 150名 | 4.5倍 |
| 2025年度 | 736名 | 690名 | 147名 | 4.7倍 |
| 2024年度 | 633名 | 591名 | 163名 | 3.6倍 |
つまり、3年で見ると、志願者は600名台から700名台、合格者は150名前後、倍率は3.6倍から4.7倍の幅で動いています。
志願者と受験者の差から読めること
さらに、志願者と筆記審査受験者の差にも注目してください。
2026年度は721名が出願し、668名が筆記審査を受けています。50名ほどが受験に至っていません。
なお、合格者の平均スコアは公開されていません。
何点取れば受かるという目安が示されない試験である、ということです。だからこそ、答案の質そのものを上げるしかありません。
出典は早稲田大学国際教養学部の入試データです。
SILS の Critical Writing は、どういう試験か
ここから筆記審査の中身に入ります。
Critical Writingの近年の構成は、長文3問。そのうち2題に英文エッセイが含まれ、試験時間は120分です。
単語や文法の知識から、長い英文を正確に読む力、そして英語で自分の論を組み立てる力まで、広い範囲が同時に試されます。
この試験の難しさは、分量や語彙のレベルだけではありません。
出典も分野も、毎年大きく変わるという点にあります。
次に、実際に何が出たのかを、2年分たどってみます。
2025年度のSILS:思い込みを外して読めるか
2025年度のSILSの3つの長文は、雑誌記事、海外要人の回顧録、倫理相談という、性格の異なる英文で構成されていました。
出典も文体も違うため、英文の種類に応じて読み方を切り替える必要がありました。
長文1は、専門家が一般向けに書いた雑誌記事(Forbes)からの引用です。英文レベルは最難関大学入試レベルで、語彙・構文・内容のいずれも簡単ではありません。
また、空所補充15問は、単語や熟語の知識だけでなく本文の理解も問うものでした。文法5問では、仮定法過去と倒置を組み合わせたような上級の出題が見られます。
ただし、この長文の本当の難しさは、常識とは一見相容れない主張が展開されていた点にあります。「普通ならこうだろう」と先に決めてしまうと本文を読み違え、紛らわしい選択肢に誘導されます。
2025年度 長文2:事実を正確に押さえる
長文2は、海外要人の回顧録からの抜粋で、英検準1級レベルの英文でした。内容一致問題では、事実確認だけではなく、筆者の価値観や社会の見方を読み取ることが求められました。
エッセイ課題では、国際的な社会・文化理解と比較の力が問われています。
ここには答案づくりの分岐がありました。賛成の立場を取ると本文をなぞるだけになりやすく、独自性が出しにくい。反対の立場を選ぶと、本文との相違点を軸に議論を組み立てやすい出題でした。
2025年度 長文3:倫理相談から何を書くか
長文3は、The New York Times Magazineの「倫理相談」からの抜粋です。アカデミックな表現と口語寄りの英文が混ざっており、評論文とは違う読みが必要でした。
エッセイ課題は、人とのつきあい方や年齢なりの成熟度を測るような出題です。正論を述べるだけでは足りず、相手の気持ちを想像しつつ、現実にどう行動するかを示す必要がありました。
詳細は2025年度のレビューで扱っています。
2026年度のSILS:精緻な読解と理由づけ
2026年度のSILSは、長文1・2・3がそれぞれ異なる分野から出題されました。認知科学、翻訳、科学倫理という構成です。
長文1は、米ビジネス誌に掲載された、認知科学者が一般向けに書いた記事からの引用でした。
また、空所補充16問は、単語だけでなく数語のフレーズも含みます。文法4問は、to不定詞や動名詞の正確な理解を問う、やや標準的な内容でした。
つまり、この長文で本当に問われたのは、自分と他者の状況を心理的にシミュレーションしないと正答にたどり着けない出題が設けられていた点です。
2026年度 長文2:多言語をめぐる難問
長文2は、UNESCO出版物からの抜粋で、複数言語をめぐる難問でした。空所補充6問は英検準1級レベルの単語からの出題ですが、語を知っているだけでは足りません。
エッセイ課題は、複数言語で作品を鑑賞した経験と、それについての考察を問うものです。異なる言語に翻訳されたものは本質において同一なのか、それともまったく別物なのか。
2026年度 長文3:科学倫理を問う
長文3は、科学誌Natureからの抜粋でした。科学用語が説明なく使われる高度な英文です。
エッセイ課題は、科学への関心や意見に加えて、受験者の倫理観を問うテーマ設定でした。科学的な責務や正確さは倫理的な要求と相容れるのか。読み手が納得できる理由を提示する力が試されました。
詳細は2026年度のレビューで扱っています。
2年分を並べて見えるSILSの傾向
2025年度と2026年度は、出典も分野もまったく違います。それでも問われている力は重なっています。
第一に、英文の種類に応じて読み方を切り替える力。 雑誌記事、回顧録、倫理相談、学術誌。同じ読み方では対応できません。
第二に、自分の思い込みをいったん外す力。 2025年度は常識とずれる主張、2026年度は他者の心理を推し量る出題。どちらも先に答えを決めてかかると読み違えます。
第三に、立場を決めて理由で支える力。 両年度とも、エッセイでは賛否や価値判断が求められています。
つまりSILSが見ているのは、英語ができるかどうかだけではありません。
英語を使って、世界の複雑な事象をどこまで考えられるかです。
2027年度のSILSに向けた準備
空所補充
英検準1級レベルの語彙に加えて、本文の内容理解が必要です。そして、ここでのタイムロスは最小限に抑えてください。考え込みすぎると、後半の内容一致問題や英文エッセイに使う時間が削られます。
次に、文法
高校で習う文法事項の中から、上級レベルの出題が予想されます。過去問と似た形式の文法正誤問題を数多く解いてください。感覚だけで処理しようとすると危険な領域です。
内容一致と英文エッセイの準備
さらに、内容一致
英語圏の刊行物からの抜粋など、高度な英文を正確に理解する力が求められます。英字紙だけでなく、さまざまなスタイルの英字雑誌にも触れておくと応用力が養われます。
英文エッセイ
国際問題、社会科学、人文学から受験者個人の価値観まで、幅広く意見を求められても対応できる力が試されます。みずからの「国際教養」とは何かを問いながら掘り起こし、言語化してください。
さらに詳しい方針は2027年度の対策ページにまとめています。
なお、出題形式や内容は前年とまったく異なる場合があります。過去の形式に最適化しすぎないでください。
もうひとつの30分:志望理由に関するエッセイ
一方、冒頭で触れたとおり、筆記審査にはCritical Writingとは別に、志望理由に関するエッセイ(日本語・30分)があります。
Critical Writingの準備に集中していると、この30分が抜け落ちがちです。
志望理由に関するエッセイは、入試当日に試験会場で、日本語で書くことになります。
用意してきた文章をそのまま写せるわけではありません。
そのため、対策としては、なぜこの学部なのか、入学後に何をしたいのかを、時間内に書き切る練習を別途しておくことをおすすめします。
なお『鳥本』はCritical Writingに特化しており、この日本語エッセイの対策は含んでおりません。
SILS を独学で進めるときの手順
1. SILS の公式サイトの過去問に目を通す
過去問そのものは、早稲田大学の公式サイトで一部を閲覧できます。まず現物を見て、形式と分量の感覚をつかんでください。
2. 時間を計って1年分を解く
120分の中で、読解とエッセイ2題を配分する必要があります。時間を計らずに解いた練習は、本番の再現になりません。
3. 解いたあとに3点を確認する
設問が何を要求しているかを取り違えていないか。根拠を本文から拾えているか。時間内に書き切れているか。
読む練習と、基準に照らす練習
4. 読む練習を、書く練習と同じだけ積む
Critical Writingは書く試験に見えますが、答案の質を決めるのは読み方です。英文を読んだあと、筆者はなぜそう考えるのか、自分ならどの立場を取るのか、相手の立場からはどう見えるのかまで考える習慣をつけてください。
5. 基準と照らす
書いた答案を模範解答と項目ごとに比べます。主張の置き方、根拠の数、具体の入れ方。どこが違うかを1つずつ確認してください。
いちばん難しいのは、5番目です
SILS は合格者の平均スコアを公開していません。エッセイは選択式でもありません。
つまり、自分の答案が合格圏にあるのかどうかを判断する材料が、受験生の手元にないということです。
しかし、SILS のこの領域は、市販の問題集も対応する講座も極端に少なく、評価される答案の姿を示す教材がありませんでした。
『鳥本』は、この領域だけを専門に、過去問の分析から評価される答案までの道筋を一冊にまとめた対策テキストです。
年度をまたいだ出題分析と模範解答、エッセイと答案作成のガイダンス、2027年度の出題予想問題10問、本番形式の模擬試験3回を収録しています。
SILS 対策教材の全体像は『鳥本』とはのページでご覧いただけます。
なお、採点・添削のサービス、および志望理由に関するエッセイ(日本語)の対策は含んでおりません。
SILS AO入試のまとめ
SILSのAO入試は、書類審査と筆記審査で行われ、筆記審査はCritical Writing(120分)と志望理由に関するエッセイ(日本語・30分)の2つで構成されています。
また、SILS の募集人員は95名、実質倍率は近年3.6倍から4.7倍で推移しています。合格者の平均スコアは公開されていません。
Critical Writingは長文3問のうち2題に英文エッセイを含み、出典も分野も毎年変わります。
しかし問われている力は一貫しています。英文の種類に応じて読み方を切り替え、思い込みを外し、立場を決めて理由で支える力です。
つまり、SILS の準備の順序は、読む練習を先に置くこと。そして書いた答案を測る基準を持つこと。
この2つが、独学で進める際の分かれ目になります。
SILS AO入試のよくある質問
Q. SILSのAO入試の筆記審査は、英語だけですか。
A. いいえ。Critical Writing(120分)に加えて、志望理由に関するエッセイ(日本語・30分)が課されます。英語の対策だけでは足りません。
Q. 募集人員と倍率を教えてください。
A. 募集人員は95名です。実質倍率は2024年度3.6倍、2025年度4.7倍、2026年度4.5倍と推移しています(早稲田大学公表の入試データより)。
出願と過去問についてのよくある質問
Q. 出願に英語資格は必要ですか。
A. 指定された英語外部検定試験のスコア提出が必須です。必ず最新の入学試験要項をご確認ください。
Q. 過去問はどこで手に入りますか。
A. 早稲田大学の公式サイトで、入試情報として一部が公開されています。年度によって公開範囲が異なりますので、受験年度の情報をご確認ください。
対策の進め方についてのよくある質問
Q. 合格に必要な点数の目安はありますか。
A. 早稲田大学は、AO入試(4月入学・国内選考)の合格者平均スコアを公開していません。目安が示されない試験であるため、答案の質そのものを上げる準備が必要です。
Q. 英検準1級を持っていれば読解は大丈夫ですか。
A. 空所補充では英検準1級レベルの語彙が出題された年度があります。ただし語を知っているだけでは足りず、本文の論旨の中でその語がどう働くかを判断する必要があります。
市販教材とのちがい
Q. 市販の問題集で代用できますか。
A. 国際系の総合型選抜に対応した市販教材は、現状ほとんどありません。一般的な英作文の問題集では、Critical Writingで問われる論の組み立て方までは扱われていないことが多いです。
早稲田 SILS AO入試は、英語力そのものより、読んだ内容に対して自分の立場を組み立てられるかを見る試験です。過去問で問われ方を確かめてから、書く練習に入ってください。