早稲田 SILS 🔗 (AO入試)|2025年度 過去問レビュー
Critical Writing 2025:思い込みを外して読み、他者の立場まで考える
2025年度の早稲田大学国際教養学部、通称SILSのAO入試Critical Writingでは、英語の難しさだけでなく、読み手としての柔軟さや、人間理解の深さが強く問われました。
本年度の3つの長文は、雑誌記事、海外要人の回顧録、倫理相談という、それぞれ性格の異なる英文から構成されていました。出典も文体も異なるため、受験生には、英文の種類に応じて読み方を切り替える力が必要でした。
特に2025年度は、「わかる部分をつなぎ合わせて読む」だけでは危険な出題が目立ちました。筆者の主張が常識とずれている場合、あるいは複数の人の感情や立場が入り組んでいる場合、こちらの思い込みで読んでしまうと、本文の本当の方向を見失ってしまいます。
長文1:常識とずれる主張を、最後まで追えるか
長文1は、専門家が一般向けに書いた雑誌記事(Forbes)からの引用でした。英文レベルは最難関大学入試レベルで、語彙・構文・内容のいずれも簡単ではありませんでした。
空所補充15問は、単語・熟語の知識だけでなく、本文の理解も問うものでした。空所の前後だけを見て選ぶのではなく、筆者の議論がどの方向へ進んでいるのかをつかんだうえで判断する必要がありました。
文法5問では、構文知識に加えて、仮定法過去+倒置などを問う上級レベルの出題が見られました。感覚だけでは処理しにくく、文の形を正確に見抜く力が求められました。
さらにこの長文では、英文自体の難しさに加えて、常識とは一見相容れない主張が展開されていました。そのため、「普通ならこうだろう」と先に決めてしまうと、本文を読み違え、紛らわしい選択肢に誘導される可能性がありました。ここでは、自分の常識をいったん保留し、筆者の論理をそのまま受け止める姿勢が重要になります。
長文2:回顧録から考える、国際的な社会・文化比較
長文2は、海外要人の回顧録からの抜粋で、英検準1級レベルの英文でした。長文1に比べると、英文そのものは比較的読みやすく感じた受験生もいたかもしれません。
空所補充6問は、本文の内容が理解できれば完答できるレベルでした。ロジックの流れをつかみ、筆者がどのような経験を通して、どのような思想に至ったのかを正確に読むことで、正答にたどり着くことができました。
内容一致問題でも、筆者の思想を正確に理解することが求められました。単なる事実確認ではなく、筆者の価値観や社会の見方を読み取る問題だったと言えます。
エッセイ課題では、受験者の国際的な社会・文化理解や比較の力が問われました。「賛成」の立場を取ると本文の内容をなぞるだけになりやすく、答案に独自性を出しにくい面がありました。一方で、「反対」の立場を選ぶと、本文との相違点を中心に議論を組み立てやすい出題でした。
いずれにせよ大切なのは、本文を十分に咀嚼したうえで、自分の比較の軸を明確に示すことです。
長文3:倫理相談から問われた、人との向き合い方
長文3は、The New York Times Magazineの「倫理相談」からの抜粋でした。アカデミックな表現と口語寄りの英文が混ざっており、評論文とは異なる読みが求められました。
択一問題では、慣用表現や、異なる立場の人々の意見を正確に理解することが求められました。誰が、どの立場から、どのような感情で発言しているのかを整理しながら読む必要がありました。
エッセイ課題は、受験者の人とのつきあい方や、年齢なりの成熟度を測るようなユニークな出題でした。自分と異なる意見や立場、そして感情を理解したうえで、それらを尊重しながら、人間関係において現実で取るべき対処法を考える力が問われました。
ここでは、単に正論を述べるだけでは不十分です。相手の気持ちを想像しつつ、自分の考えも失わず、現実的にどのように行動するかを示す必要があります。SILSらしい、対話力と判断力を問う課題だったと言えます。
まとめ
2025年度のCritical Writingでは、長文1で常識に引きずられずに読む力、長文2で国際的な社会・文化理解と比較の視点、長文3で異なる立場や感情をふまえた成熟した対応力が問われました。
対策としては、難しい英文を読むだけでなく、「筆者はなぜそう考えるのか」「自分ならどの立場を取るのか」「相手の立場から見るとどう見えるのか」まで考える習慣が欠かせません。
SILSのCritical Writingでは、英語力はもちろん必要です。しかし、それだけでなく、複雑な主張を受け止め、多様な立場を整理し、自分の考えを誠実に表現する力が求められます。2025年度の出題は、そのことをはっきり示す内容でした。