早稲田 SILS 🔗 (AO入試)|2026年度 過去問レビュー
Critical Writing 2026:「精緻な読解力」と「批判的思考力」
早稲田大学国際教養学部(SILS)のAO入試では、毎年、受験生にとって一筋縄ではいかない英文が出題されます。2026年度のCritical Writingも、決して「英語が得意なら何とかなる」という試験ではありませんでした。
ただ、出題を丁寧に見ていくと、SILSが何を見ようとしているのか、そして受験生がこれからどのように準備すればよいのかが見えてきます。
2026年度は、長文1・長文2・長文3のそれぞれが異なる分野から出題されました。認知科学、翻訳、科学倫理という、SILSらしい幅広いテーマ構成です。語彙力や文法力はもちろん必要ですが、それ以上に、精緻な読解と、具体的な理由に支えられたみずからの批判的思考が問われた年度だったと言えます。
長文1:認知科学から問われた「心の動きを読む力」
長文1は、米ビジネス誌に掲載された、認知科学者が一般向けに書いた記事からの引用でした。
これも単に流し読みしていくだけでは、十分に対応はできません。空所補充16問は、単語だけでなく数語のフレーズも含み、本文内容の理解も求められました。前後の文脈を確認しながら、「なぜこの表現がここに入るのか」を考える必要があったと言えます。
一方、文法4問は、to不定詞や動名詞の正確な理解などを問う、やや標準的な内容の出題でした。ここは、基礎文法を丁寧に積み上げてきた受験生にとっては、落ち着いて得点したい部分です。
長文1で本当に大切だったのは、自分と他者の状況を心理的にシミュレーションしてみないと正答にたどり着けない出題が設けられていた点です。SILSは、英文の中で人が何を考え、どのように判断しているのかまで読み取れるかを見ていたと考えられます。
長文2:翻訳をめぐる、SILSらしい深い問い
長文2は、UNESCO出版物からの抜粋で、複数言語に関する難問。空所補充6問は、英検準1級レベルの単語からの出題でした。語彙レベルは標準ですが、ここでも単語を知っているだけでは十分ではありません。本文全体の流れの中で、その語がどのような役割を果たしているのかを判断する必要がありました。
内容一致問題では、本文理解に基づくタイトルの意味や、造語の意味を推し量るなど、高度な出題が見られました。表面的に本文と選択肢を照合するのではなく、筆者の主張を踏まえて、言葉の意味を考える力が必要でした。
エッセイ課題は、複数言語で作品を鑑賞した経験や、それについての考察を問うものでした。異なる言語に翻訳されたものは、本質において同一なのか、それともまったく別物なのか。これは、バイリンガルならではの深い考察が求められる問題です。
長文3:科学と倫理のあいだで、立場を明示できるか
長文3は、科学誌Natureからの抜粋でした。科学用語が説明なく使われる高度な英文であり、普段から学術的な英文に触れていない受験生にとっては、かなり手強く感じられたはずです。
択一問題では、論文でよく用いられる表現や、論旨の細かな理解が求められました。全体の雰囲気をつかむだけでは不十分で、筆者がどのようなロジックで議論を進めているのかを、丁寧に追う必要がありました。
エッセイ課題は、科学への関心や意見に加えて、受験者の倫理観を問うようなテーマ設定でした。科学的な責務や正確さは、倫理的な要求と相容れるものなのか。それとも、どこかで妥協の線引きをすべきなのか。読み手が納得できる理由を提示する力が試されました。
まとめ
2026年度のSILS AO入試も、語彙や文法の知識だけで通れる試験ではありませんでした。長文1では認知科学的な状況理解、長文2では翻訳と言語に関する考察、長文3では科学と倫理をめぐる立場表明が問われました。
この入試に対して、準備の方向性は明確です。英文を読む際に、本文の論理を丁寧に追い、筆者の問題意識をつかみ、自分ならどう考えるかまで踏み込むこと。そして、その考えを具体的な理由とともに英語で表現する練習を重ねることです。
SILSが求めているのは、単に「英語ができる人」ではありません。英語を使って、世界の複雑な事象を考えようとする人です。焦らず、一つひとつの英文と向き合い、考える習慣を積み重ねていきましょう。