青学 英米文学 (Dept. of English) 🔗|自己推薦・2026年度 過去問レビュー
「ごみ」が教室に変わるとき
2026年度の青学英米文学科・自己推薦入試では、南米コロンビアの社会起業家たちが推進する「Conceptos Plásticos」プロジェクトをめぐる英文が出題されました。
テーマはプラスチックごみですが、本文が描いていたのは、単なる環境保全にとどまらない、もっと大きな社会の仕組みです。
使い捨てられたプラスチックを建築資材に変え、住宅や学校をつくる。その技術が、貧困層の生活自立、途上国における感染症対策、災害に強いインフラ整備、そして雇用の創出へとつながっていく。
2026年度の課題文は、複数の人道支援が複雑に連動する「ソーシャル・ビジネス」の最前線を扱っていました。
課題文:プラスチックごみが、社会を支える資材となる
課題文は前年度と同様、英検準1級レベルで、約520語のパッセージでした。英文の語彙自体は親しみやすく、物語を追うように読み進められるストーリー仕立てとなっています。
しかし、読みやすく感じることと、正確に理解できることは別です。
本文では、Conceptos Plásticosが、袋、食品容器、シャンプーボトルなどを、ブロックや柱からなる建築システムへと変えていく過程が説明されます。さらに、その建物は耐震性、防火性、断熱性、耐久性を持ち、住宅不足や学校不足の解決にもつながっていきます。
ここで求められたのは、表面的に「プラスチックを再利用している」と読むことではありません。「誰の、どのような困りごとが、技術と経済の仕組みによってどう解決されたのか」という、当事者たちの相関関係と因果のルートを立体的に整理する読解の精度です。
問題 I:因果と具体例を要約できる日本語力
「問題I」は、下線部分の内容を、本文全体の論旨の中で具体例を挙げつつ、日本語で説明するというものでした。
下線部では、この取り組みが、環境からごみを取り除き、よく設計された建物によって教育制度を改善し、仕事を生み出す経済を作ったことが述べられています。
ただ、下線部だけを日本語に置き換える答案では不十分です。
プラスチックごみが下水にたまることでマラリア拡大につながっていたこと、雨季に泥レンガの学校が頻繁に建て直しを必要としていたこと、さらに工場が主に女性を雇用し、550以上の教室を生み出したことまで、本文の具体例を使って説明する必要がありました。
ここでは、英文の正確な理解と要点の把握、さらにそれを明確かつ簡潔な日本語で説明できる、バイリンガルの表現力・運用能力が問われました。
問題 II:自分の経験から、別の解決策を出せるか
「問題II」は、長文に示されていない、受験者オリジナルの課題解決法を80~100語の英文で述べるというものでした。設問は、環境中のプラスチックごみを減らすための他の効果的な方法を尋ね、さらに自分の経験を盛り込むことを求めています。
この条件があるため、一般論だけでは答案が弱くなります。たとえば「リサイクルが大切だ」と書くだけではなく、マイボトルを使う、過剰包装を避ける、学校や家庭で分別を徹底するなど、自分の生活の中にある具体例と結びつける必要があります。
求められたのは、意見と具体例のバランスが取れたエッセイを書く力です。大きな社会問題を、自分の経験から考えられるか。その距離感が、2026年度の英作文では特に重要でした。
まとめ
2026年度の出題は、環境問題を「ごみを減らす話」として終わらせないところに特徴がありました。プラスチックごみが、住宅、学校、雇用、感染症対策、インフラ整備へとつながっていく。その連鎖を読み解くことで、本文の本質が見えてきます。
対策としては、一般英字誌レベルの英文に慣れるだけでなく、社会課題を因果関係で整理する練習が欠かせません。そして英作文では、世界の問題を遠い話として語るのではなく、自分の経験から具体的に考える姿勢を養っていきましょう。